3Dプリンターのスライサーソフト「cura」の「適応レイヤー(AdaptiveLayer)」とはどういった機能なのか調べてみました。で便利そうなので使い方も兼ねて少しですが解説します。
概要
3Dプリンターの精度指標の一つに積層ピッチがあると思います。積層の厚さ(高さ)を決める項目で、精度(出来栄え)に直結します。
一概にこの項目だけで精度が決まるわけではないですが、精度への影響度は大きい項目で、当然細かければ細かいほど出来栄えがきれいになります、がその分積層時間は増えます。
積層ピッチにははいろいろな言い方がありますが、Curaでは「レイヤー高さ(LayerHight)」などと表現されています。
Curaの場合、「レイヤー高さ」で設定した値で3Dモデルがスライスされます。
適応レイヤー(AdaptiveLayer)とは
で現在のCuraには実験オプション(Experimental)で「適応レイヤー」というのが準備されてます。バージョン3.2.1当たりでしょうか?、この当たりで追加されている機能のようですね・・。
ふつうの「レイヤー高さ」の設定では3Dモデルを一定の積層ピッチでスライスします。そのため、出来栄えをよくしようと積層ピッチを細かくすると積層時間が増え、積層時間を短くするためには積層ピッチを大きく(荒く)して出来栄えを犠牲にする必要があります。
これに対して「適応レイヤー」を使うと、積層ピッチを可変することができるようになります。モデル(形状)が垂直な部分は積層ピッチを大きくして、斜め面のところは小さくするといった具合です。
ですので出来栄えを保ったまま積層時間を節約するなんてこともできそうです。
「適応レイヤー」という日本語訳が、機能を少しわかり難くしてますね・・・。「可変積層ピッチ」とかしてくれればわかり易いんですけど・・。
適応レイヤー(AdaptiveLayer)を使ってみる
まずCuraで「適応レイヤー」を使えるようにします。ちなみに簡単な設定のみで、可変具合はある程度Curaまかせになります。
Curaの準備
「プリファレンス(Preferences)」⇒「curaの構成…(configureCura…)」とすすみ、「設定(settings)」タブで
「適応レイヤーの使用(Use adaptive layers)」
「適応レイヤー最大差分(Adaptive layers maximum variation)」
「適応レイヤー差分ステップサイズ(Adaptive layers variation step size)」
「適応レイヤー閾値(Adaptive layers threshold)」
の項目にチェックを入れれば、
「プリントセットアップ(Print Setup)」の「カスタム(Custom)」画面、実験(Experimental)の項で「適応レイヤー」の設定ができるようになります。
項目の設定
「適応レイヤーの使用」にチェックを入れれば各項目が設定できるようになります。
◆「適応レイヤー最大差分」
ここで入力する値は「レイヤー高さ」で設定してある基準となる積層ピッチに対して、可変する積層ピッチの上限値を決めます。
◆「適応レイヤー差分ステップサイズ」
可変する積層ピッチのステップを決めます。
◆「適応レイヤー閾値」
ここで設定する数字と斜め面の正接値を比較してピッチを可変するようです。中身の詳細計算はいまいち不明。数字が小さい程、積層ピッチが細かめに設定される感じです。
設定項目はこんな感じである程度はCuraまかせとなるようです。
適応レイヤーを試してみる
▼適応レイヤーでスライス▼
積層ピッチ「0.3」~「0.1」で可変させてます。レイヤービューで積層ピッチを可視化できます。見て分かる通り、垂直ではピッチが荒く、傾斜面ではピッチが細かいです。
一定ピッチのスライスと比較してみたのですが、確かに時間効果はありそうな感じです・・。
ほんとは両方でスライスしたもので現物作って、出来栄えを比較したかったのですがまだそこまでできてません。
▼現物で比較してくれている方がいました▼
確かに効果はありそう??・・・。他のスライサーを全くしらないのですがこういった機能は一般的なのですかね?
時間が出来たら自分でも試してみたいです。
コメント
きれいになる分、異様に時間がかかりました。(造形物の形によるんだとおもいます)